【血行促進】身体を温めることによる生体反応

湯船やカイロ等で身体を温める事により血管が拡張し、血行が促進されます。

血行が促進されると、老廃物の除去や酸素の供給が盛んに行われ、組織の修復疼痛軽減効果が期待できます。

また、組織の柔軟性を高める効果としても有効です。

ストレッチ体操の前に温熱療法を行う事で、筋の柔軟性を効率的に高める効果が期待できます。

しかし、外傷後急性期での温熱療法は不適切です。

温熱により血管は拡張し、内出血や炎症を助長させてしまうおそれがあります。

温熱療法を施す際は、タイミングによる使い分けが肝要です。

温熱療法が身体に及ぼす影響

物質の温度上昇は柔軟性を高めます。

極端な例になってしまいますが、鉄を熱すると柔軟性が向上して形状が変化するイメージを持って頂けると、想像しやすいと思います。

筋や腱、そして靭帯にも同様なことが言えます。

温熱療法は、筋、腱、及び靭帯の柔軟性を高め、関節可動域を向上させる助けになります。

外傷後、必要に応じて患部へのプライトンシーネや包帯固定等の免荷処置を一定期間施すと、関節可動域低下を引き起こす可能性があります。

機能訓練プログラムの一環として、患部及び患部周囲の自動・他動運動、そしてストレッチングを行います。

ストレッチングは筋・腱、靭帯の伸長性を高めるのに有効な方法です。

より効果を高めるためにストレッチングの前にあらかじめ目的の筋を温めることで、安全に組織の伸長動作を実施することができます。

温熱療法を施すことで、効果的に関節可動域の改善を行うことが出来るのです。

湯船やカイロ等で身体を温めると血管が拡張し、血流に増加より血行が良くなります。

血流の増加は、老廃物の除去や酸素・栄養分が効果的に供給され、患部の修復に効果的です。

また、患部を温めると、筋の緊張緩和や血行が良くなることによる循環改善により、疼痛の除去にもつながります。

何かしらの原因により筋が緊張すると、筋内に存在する侵害受容器が刺激されます。

刺激を受けた侵害受容器により痛みを引き起こし、更なる筋緊張をもたらします。

これらのスパイラルを断ち切る為の方法の1つとして、温熱療法は有効です。

しかし、外傷後の急性期に限っては、温熱療法は適切ではありません。

例えば、靭帯や筋・腱を負傷すると、怪我の程度に差はありますが、炎症や内出血を伴います。

負傷直後の急性期は、炎症や内出血を出来るだけ抑える必要があります。

この段階で患部を温めてしまうと、血管が拡張し血行が良くなり、炎症や内出血が助長されます。

患部周辺に二次的低酸素状態を引き起こし、組織の治癒が遅れてしまう可能性があります。

外傷後の急性期は、患部を温めるのではなく、氷水でのアイシングが正解です。