【オスグッド】オスグッド・シュラッター病と骨格バランスの関係

オスグッド・シュラッター病(以下、オスグッド)は、成長期に過度なスポーツ活動をする男子に多く、膝のお皿(以下、膝蓋骨)の真下にある脛骨粗面に痛みを訴える整形外科的疾患です。

脛骨粗面は、大腿四頭筋が膝蓋骨を走行し、膝蓋腱となって付着する部位です。

成長期での過度なジャンプやダッシュ動作により、大腿四頭筋に過緊張を引き起こします。

筋肉の過緊張により、脛骨粗面への反復的な牽引力が引き金となって、オスグッドが誘発されることが多いです。

また、骨格アライメントの不整は、オスグッドの発症と大きく関係していると考えております。

骨格アライメントの不整は、建物と同様、身体という構造物にアンバランスを引き起こします。

身体の唯一の動力源である筋肉に不要な負荷がかかり、特定部位に痛みや硬結を誘発する可能性が出てくるのです。

スポーツ活動
図1 スポーツ活動

オスグッドの受傷機転

オスグッドは、骨と筋肉の成長時期のタイムラグが大きな原因であるといわれています。

成長期になると、骨や筋肉が長軸方向に伸びますが、その時期は両者で異なります。

まず、骨が先行して成長し、少し遅れて筋肉が成長します。

先行して骨が成長した段階では、まだ筋肉が成長しておらず、常に筋肉への牽引ストレスがかかり易い状態です。

この時期にハードトレーニングを実施し、ストレッチを怠ると、筋肉により強い負荷が加わります。

一般的に筋腱と骨の付着部は、力学的に弱く、持続的な牽引ストレスにより痛みを誘発しやすくなります。

成長期になると、クラブ活動等で急に運動量が増し、その時期に過度なジャンプやダッシュ動作を行うと、大腿四頭筋に強い反復性の負荷が加わります。

その際に、大腿四頭筋の付着部である脛骨粗面にも過大な牽引力がかかります。

ストレッチ等のケアを怠り、ハードトレーニングを継続すると、脛骨粗面への疼痛や腫脹を誘発し、場合によっては隆起を認める場合もあります。

骨格アライメントの調整とストレッチ

オスグッドの発症は、大腿四頭筋の緊張状態による部分が大きいです。

また、骨格アライメントの不整は、体幹の筋肉だけでなく、大腿四頭筋の柔軟性の低下につながる可能性があります。

大腿四頭筋は、膝伸展や股関節屈曲作用があり、大腿骨及び骨盤に付着しています。

骨格アライメントの不整により、骨盤をニュートラルの位置から遠ざけ、筋肉に強いストレスが加わります。

骨格アライメントの不整の状態は、オスグッドを更に助長させる可能性が出てきます。

骨盤を調整することで、大腿四頭筋へのストレスの軽減につながることが期待できます。

そして、患部の安静を図り、スポーツ活動を休止することも大切になってきます。

念入りな大腿四頭筋のストレッチをおすすめします(図2)。

繰り返しになりますが、オスグッドの治療効果を高める為には、骨格バランスを整え、適切な姿勢を意識することが何よりも大切です。

肩甲骨を背骨に寄せて胸を張り、座るときの姿勢は、坐骨結節を意識し、直角に立てる様に座ることが肝要です。

大腿四頭筋のストレッチ方法

  • 膝を曲げ、手で足首を持って曲げた膝を引き上げます。
  • 太ももの前側に伸ばされている感覚があれば正解です。
  • 片足で立つと不安定になるので、近くの壁など支えのある場所で行ってください。
  • その状態を40秒間維持しましょう。
  • その際、下腹部を前に突き出すことが大切です(図2 A)。
大腿四頭筋ストレッチ
図2 大腿四頭筋ストレッチ

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