【直立二足歩行】背骨の弯曲(S字状のカーブ)は力学的に重要です

ストレートネックや円背などに伴う背骨の弯曲(S字状のカーブ)の乱れは、身体にストレスがかかりやすくなります。

また、反復的な前かがみ姿勢が原因での骨格の歪みは、背骨の弯曲の乱れを引き起こし、身体全体の骨格のアンバランスを引き起こします。

そのような状態が続くと、腰や背中、そして首まわりの筋肉に反復的なストレスが生じ、腰痛や背部痛、そして首の痛みなどの原因となります。

身体全体の骨格の歪みを整え、鍼灸治療や低周波治療機器等の物理療法などで筋肉の緊張を和らげることが大切になってきます。

また、正しい姿勢の意識付けも大切であると考えております。

背骨の弯曲は、直立二足歩行を維持する上で、非常に重要です。

ヒトの背骨は、頸椎(首の背骨)、胸椎(胸の背骨)、腰椎(腰の背骨)、仙椎(仙骨)、そして尾骨で構成されています。

背骨の形状は、真っ直ぐな円柱ではなく、側面から見て、S字状の弯曲を呈しております(頸椎と腰椎では、前凸のカーブである前弯、胸椎部、仙骨、尾骨では、後凸のカーブである後弯です)。

S字状の弯曲でなくても真っ直ぐな円柱でいいのではないかと考えがちですが、あえて脊柱の弯曲を作り出しているのには、重要な意味があります。

脊柱の弯曲は、「真上からの圧力に対する脊柱の抵抗力」を高める機能があります。

「真上からの圧力に対する脊柱の抵抗力」とは、物体を上から押しつぶす力を加えた時、その物体が押しつぶされないために働く抵抗力のことです。

「真上からの圧力に対する脊柱の抵抗力」は、一定の法則で示すことができます。

(真上からの圧力に対する脊柱の抵抗力R) =(カーブの個数Nの二乗)+ 1

「真上からの圧力に対する脊柱の抵抗力R」は、「カーブの個数N」に比例します。

つまり、S字状のカーブを持つ「ヒトの背骨」は、文献[1]によると「真っ直ぐな円柱に比べて、軸圧に対する脊柱の抵抗力が10倍になるといわれています」です。

背骨のS字状の弯曲は、真上からの圧力に対し、力を分散させるのに非常に重要な役割を果たしているのです。

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参考文献

  1. A.I.KAPANDJI, 2010, カパンジー機能解剖学 Ⅲ.脊椎・体幹・頭部 原著第6版, 医歯薬出版株式会社, 14-15