腰痛を予防するために大切なことは、日常生活での姿勢です。
日常動作の中でも、「イスに座る時」や「荷物を持つ動作」、そして「掃除機の使用」など、不安定な姿勢で腰に負担を強いられてしまうケースがあります。
例えば、荷物を持つ時は、なるべく荷物を身体に近づけて胸を張る姿勢で、荷物を持つことが大切です(図1 A)。
一方、猫背で身体から遠ざけた状態で荷物を持つと、テコの原理で身体へのストレスがより一層加わります(図1 B)。
子供の遊具であるシーソーを例にとります。
シーソーに同じ体重のヒトが乗った場合、中心より遠くに座った人の方がシーソーが沈みます。
つまり、荷物が身体から離れると、モーメントが働き、身体へのストレスが増大します 。
不安定な姿勢での荷物の運搬は、身体に負担がかかり、腰痛の原因になるのです。
正しい姿勢を意識しましょう
頭の重さは体重の約10%と言われております。
体重が60kgの人の頭の重さは約6kgです。
例えば、猫背などの前かがみ姿勢は、身体を横から見た時の頭の位置が前方にスライドしてしまいます。
体幹に対し、頭の重さによるモーメントが働き、腰に持続的なストレスが加わります。
正しい姿勢の意識は、腰痛を予防する上で、非常に大切なのです。
腰痛予防として、腹筋や背筋を鍛えることが大切であるといわれております。
もちろん、筋力トレーニングを行い、身体機能を高めることは大切なことです。
しかし、筋力トレーニングよりも、正しい姿勢の意識づけの方が腰痛予防の優先度が高いと考えております。
まずはじめに、手軽に始められる適切な姿勢の意識づけの方法として、背中にある肩甲骨を背骨に寄せ、常に胸を張る姿勢を心がけることです。
それを意識するだけでも、姿勢の改善の大きな助けになると考えております。