運動に備えてのウォーミングアップやクールダウンでのストレッチは、誰もが実施していると思います。
ストレッチは、関節可動域を広げて、目的の筋肉を柔らかくし、怪我の予防策として広く知られています。
ストレッチは、「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」に分類されており、運動の場面によってそれらのストレッチを使い分けことが大切であると考えております。
ストレッチの分類
静的ストレッチは、反動をつけずにゆったりとした動きで、目的の筋・腱を伸ばします。
筋肉は、関節をまたいで腱となり骨に付着します。
骨に付着した部位を「起始」と「停止」といいます。
静的ストレッチは、ゆっくりと関節に動きを加えながら、「起始」と「停止」を遠ざける動作です。
例えば、開脚をして身体を前に倒し、もも裏の筋であるハムストリングスをゆっくりと伸ばす股割りは、体育や部活動等で行われている静的ストレッチです。
一方、動的ストレッチは、身体を動かしながら筋を温めて、関節・筋・腱に動作を与えるストレッチです。
ラジオ体操がその典型です。
また、メジャーリーガーの前田健太投手が登板前に行っている体操も動的ストレッチです。
ウォーミングアップについて
筋肉は、身体を動かす際の唯一の動力源です。
ウォーミングアップ時に、静的ストレッチを過度に行うと、「目的の筋が弛緩してしまい、筋の最大出力低下に伴うパフォーマンス低下につながる」といわれています。
ウォーミングアップの目的は、文献[1]によると「運動前のウォームアップは、競技パフォーマンスに対して身体的・精神的な準備をすることが目的である」です。
ウォーミングアップは、軽く汗を流す程度に身体を動かし、筋温や深部体温を上げ、筋の伸張性を高めることで関節可動域を広げます。
そして、運動パフォーマンス向上のための準備を行います。
これらの目的を果たすために動的ストレッチの導入をおすすめします。
しかし、静的ストレッチは、関節可動域を広げる手段として有効な方法です。
運動前は、目的の筋肉に対して、静的ストレッチを30秒程度に抑えて、動的ストレッチと併用する方法が良いと考えます。
筋肉の柔軟性を高めて、関節可動域を広げることは、スポーツパフォーマンスの向上につながります。
静的ストレッチを念入りに行う場合は、運動前以外にすると良いと考えます。
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参考文献
- Thomas R. Baechle. Roger W. Earle. 金久博昭(日本語版総監修), NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング第3版, ブックハウスHD