【膝関節】右脛骨高原骨折に対する超音波骨折治療の適応

70代女性。

自転車で会社に行く途中、転落・転倒し両膝を受傷。

疼痛、腫脹、運動痛、機能制限、皮下出血、歩行困難を認める。

超音波検査を行う。

膝窩に圧痛著明も明白な骨折像を認めず、臨床的に骨折を疑う。

ならびに、内側半月板の適合不全を認め、徒手整復を行う。

患部ギプスシーネにて安静を施し、近医にて精査を依頼する(図1)。

右脛骨高原骨折(Y字型でなく転位が少なく安定性のある高原骨折)と判明。

X線像では明らかな転位及び明白な骨折線を認めない。

しかし、MRI画像では骨折線は明白となる。

Y字型でなくU字型の安定性のある骨折である。

同医と相談し、大腿部から足までのスコッチギプス固定とした(図2、図3)。

安定性のある骨折である為、2週後、疼痛軽減、膝関節伸展位での疼痛も軽減されている。

蓋付きのギプスシーネに変え、微弱電流治療機器にて組織の修復処置を始める。

松葉杖歩行は受傷時と同じく無負荷とする。

経過良好の為、最新医療超音波骨折治療(オステオトロン)にてさらに修復を促進(図4)。

機能訓練(愛護的な自他動運動)を開始。

受傷4週後に、PTBギプス処置を行う。

PTB歩行を開始(図5)。

受傷5週後に、経過観察の為、MRIを依頼。

MRI画像では仮骨の修復も始まり、安定している。

積極的な機能訓練を開始。

患部1/3負荷にて歩行開始(図6)。

受傷6週後に、患部1/2負荷にて歩行開始。

疼痛軽減、患部関節可動域良好、歩行及び階段の昇降可能。

経過は極めて良好である。

受傷7週後に、膝ブレーシングにて全負荷歩行を開始する。

機能訓練(特に抗重力筋強化中)(図7)。

受傷直後画像
図1 受傷直後画像
スコッチギプス固定画像(受傷直後)
図2 スコッチギプス固定画像(受傷直後)
MRI画像(受傷直後)
図3 MRI画像(受傷直後)
超音波骨折治療画像
図4 超音波骨折治療画像
PTBギプス固定画像(受傷4週経過)
図5 PTBギプス固定画像(受傷4週経過)
MRI画像(受傷5週経過)
図6 MRI画像(受傷5週経過)
機能訓練画像(受傷後7週経過)
図7 機能訓練画像(受傷後7週経過)

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